初夏になるといちごの収穫期は佳境を迎え、株の根元から細い茎状のもの(ランナー)が伸びてきます。
ランナーは赤みを帯びたつる状の長い茎のようなもので、「ほふく枝」「ほふく茎」「走出枝(そうしゅつし)」などと呼ばれています。
いちごはランナーを出して、先端で新たな株を作ることで繁殖することが出来ます。
いちごの性質を知って適切なカット作業や苗作りをする必要がありますが、いくつかポイントとなる点があります。
ランナーは親株から子株に栄養分を与えるため、そのままにしておくと果実に行く分の栄養が取られてしまいます。
そのためランナーを育てるのは収穫がすべて終了してからになります。
それだけ繁殖力が強いということなので、ランナーを正しく管理すれば簡単に苗を増やすことが可能です。
本文では、プランターで栽培するいちごの適切なランナー処理について解説します。
今回の記事では、
- 【プランター菜園】いちごのランナーはいつ切る?
- 【プランター菜園】いちごのランナーの切る位置は?
- 【プランター菜園】いちごのランナーで苗を増やす方法!
について紹介します。
【プランター菜園】イチゴについての記事はこちら↓
- プランターでいちごを植える方法は?水やりの仕方も紹介!
- プランターでのイチゴ栽培でかかる病気は?治し方や予防法についても紹介!
- 【プランター菜園】イチゴは外で冬越しできる?枯れる原因や対処法についても紹介!
- 【プランター菜園】イチゴの植え替え時期はいつ?やり方やいつまで出来るかも紹介!
- 【プランター菜園】イチゴの害虫対策のやり方は?手作りスプレーについても紹介!
- 【プランター菜園】イチゴの親株の寿命は?2年目以降の注意点についても紹介!
- 【プランター菜園】イチゴが大きくならないのはなぜ?肥料が必要かについても紹介!
- 【プランター菜園】イチゴの実がならないのはなぜ?花が咲く場合と咲かない時について紹介!
- 【プランター菜園】イチゴの収穫後にやることは?お手入れ方法についても紹介!
- 【プランター菜園】イチゴは受粉が必要?人口受粉のタイミングや方法についても紹介!
【プランター菜園】いちごのランナーはいつ切る?
いちごにとってランナーは、子孫を増やすという大切な役割があります。
伸ばした先の地面に根を下ろして新たな子株を作り、その株からまた新たなランナーが出て……といったようにどんどん増えていきます。
文字通り次々に走るように地面の上を這いながら伸びていき、その成長スピードはとても速いです。
子株が出来ると、ランナーはいわば「へその緒」のような役目となり、親株から栄養を送り込む働きをします。
ランナーの発生が盛んになるのは5月~6月の初夏で、いちごの収穫時期とも被ります。
ランナーが出ると元の株は子株に栄養を送り込もうとする性質があるので、本来果実に行くはずの栄養分がそちらに取られてしまいます。
そのまま放っておくと果実の質が落ち、収穫量が減ることにもつながるので、出たランナーは収穫シーズンが終わるまで都度取り除いてしまった方が良いのです。
例えばジャガイモやサツマイモを育てる際に、花や実が付いた場合は栄養分が取られないように取り除いた方がいいと言われていますが、同じ考え方ですね。
そしてランナーは1株からかなりの本数が発生します。
放置しておくと蒸れて病害虫の原因にもなり得るので、きちんとお手入れするに越したことはありません。
果実の収穫が完全に終了してから、ようやく苗作りのためにランナーを切る作業をします。
ランナーを切って苗を増やすタイミングは、最初に出来た子株(一番株)からさらにランナーが出て、四番株まで出来た頃がちょうど良いです。
苗の作り方については後述しますが、プランターの周りに培養土を入れた育苗ポットをいくつか配置して、全てのランナーがつながった状態で育てます。
【プランター菜園】いちごのランナーの切る位置は?
地植えの場合は何本ものランナーが伸びてどんどん増えていくため、ワイルドガーデンでない限りは畝に沿って整理するように切ることが多いです。
一般的なプランターの場合は、ランナーの先端が縁からはみ出してしまいますが、プランターをハンギング状で段違いに設置している場合や、ストロベリーポットを使っている場合は誘引しながら切らずに伸ばしても良いかも知れません。
とはいえ伸ばしっぱなしでは見た目も良くありませんし、ウイルス病などの病気に罹ると次々に伝染するリスクもあります。
適切な位置でカットすることで株を健全に保つと、新しい苗が増やせる上に翌シーズンの収穫アップも見込めます。
次に、ランナーを切る位置も重要です。
親株のほうは根元近くで切って構いませんが、株元にある成長点(クラウン)を傷つけないように、少し余裕を持たせた方が安心です。
子株以降は向きによって切る位置を変えます。
親株から伸びてきたランナーは2cmほど残しますが、新たに伸びたものは根元近くでカットします。
それには理由があり、いちごは親株から来たランナーとは反対側に花と実を付ける性質があるからです。
親株から伸びたランナーの名残を目印とすれば翌シーズンに開花&結実する向きがわかるので、プランターに植える際に実がなる向きを揃えられます。
そうすると見映えが良いですし、管理しやすくなるので収穫も楽になります。
ランナーを切る際は、株元を手でしっかり押さえながら手で抜き取っても構いませんが、扱いに慣れていないと根元にある成長点を傷つける恐れがあるので、清潔な園芸用鋏を使うことをおすすめします。
【プランター菜園】いちごのランナーで苗を増やす方法!
次に、ランナーを上手く利用して苗を増やす方法を解説します。
初夏にかけて果実を収穫し終えると、ランナーが育ってきて先端に子株が生成されてきます。
その際に育苗ポットに培養土を入れ、子株部分を土の上に乗せてU字ピン状のもので(曲げた針金でも可)軽く留めておくと、接地状態を保てるのでスムーズに発根させやすくなります。
子株からさらにランナーが出たら同じように株を育て、根がしっかりと活着したら同じ要領でランナーをカットします。
秋が深まる頃には子株たちも苗らしくなってきて、独り立ち出来るくらいに育っています。
このタイミングでランナーを切り離すとポット苗が出来るので、それを新しいプランターに定植すれば完了です。
ストロベリーポットを使う場合には、ポケット部分に子株を固定しておくとスムーズです。
ポットでそのまま育てても華やかで良いですし、ランナーを適宜カットして新たな苗として別のポットやプランターに植えても良いですね。
ところで、1つの親株から何代まで苗が取れるのでしょうか?
意外かも知れませんが、親株からはじめに出た一番株は新たな苗として育てるのには向いていません。
一番株は親の株がウイルス病などの病気を持っていた場合にそのまま受け継いでしまうことが多いので、実際に次世代の苗として適しているのは「二番株、三番株」です。
四番株以降になると、親株からの栄養も行き届きにくくなるので株が弱く、やはり望ましくありません。
家庭菜園ではあまりシビアにならなくとも良いとは思いますが、質の良い実を得るには良い株を選びたいものですよね。
親株は数年で株の勢いが弱まって収量も減り、病害虫の影響を受けやすくなりますので、だいたい2~3年ごとに親となる株の更新が必要です。
まとめ
今回の記事では、
- 【プランター菜園】いちごのランナーはいつ切る?
- 【プランター菜園】いちごのランナーの切る位置は?
- 【プランター菜園】いちごのランナーで苗を増やす方法!
について紹介しました。
いちごはランナーという繁殖方法で親株から子株、孫株へとどんどん増えていくユニークな性質を持っています。
地面を這いながら新たな株を作って根を下ろすので、放っておくとプランター周りに接地してしまい収拾がつかなくなるばかりか、果実に行くはずの栄養が子株に送り込まれてしまいます。
そのため、適切にランナーをカットする必要があります。
- ランナーが出ても果実の収穫が完了するまでは都度取り除いて処分
- 複数の子株が成長してから切る
- 切る位置は親株側を2cmほど残し、子株側は株元近くで切る
- 親株から出た一番株、勢いの弱まった四番株以降は使用しない
- 上記の4つがいちごの苗を上手に増やすコツです。
いちごのプランター栽培で苗を増やすのは一見難しそうですが、ランナーを利用すればどんどん増やせますので、ぜひチャレンジしてくださいね。