イチゴ狩りに行くと、ビニールハウスの中に真っ赤なイチゴがたわわに実っていて、どれもきれいに揃った形になっていますよね。
家庭菜園でもイチゴ農園のようにきれいな果実がたくさん実ると期待して育てたイチゴが小さかったり、形が悪かったりという経験をした方もいるのではないでしょうか。
農園のイチゴの決定的な違いが「受粉」の良し悪しです。
イチゴは基本的に「他家受粉」の植物、つまり違う花から花粉をもらわなければ良い果実が出来ません。
自然に受粉する為にはちょうど良い風や、虫などの助けが不可欠です。
そうは言ってもマンションのベランダ等では虫が来る可能性は低いので、ちゃんと受粉出来ていないおそれがあります。
そのため、イチゴを形よく大きく実らせる方法として人工授粉が欠かせません。
綿棒や小型の筆などがあれば簡単に出来るので、状態の良い果実のために是非行ってほしい作業です。
今回の記事では、
- 【プランター菜園】イチゴは受粉が必要?
- 【プランター菜園】イチゴの人口受粉のタイミングや方法は?
について紹介します。
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【プランター菜園】イチゴは受粉が必要?
通常、種子を作る植物はおしべがもつ花粉をめしべに与えることで受精し、果実や種子を作る仕組みになっています。
イチゴも同じように、種子が出来るためには受粉しなければなりません。
植物の生殖パターンには「自家受粉」と「他家受粉」の2種類があり、イチゴは後者です。
前者は同じ花で完結し実を付ける植物のことで、トマトやイネなどがその代表です。
後者の場合は同じ花では完結せず、自然界ではハチやアブ、蝶などの虫の力を借りることではじめて種子を作ります。
イチゴは他家受粉の性質があるので、ただ咲いているだけでは果実がまともに実りません。
風や虫は偶発的なもので、花粉を確実に運んでくれるとは限りません。
そう考えると、イチゴ農園のビニールハウス内できれいなイチゴが実っているのは不思議に思えますが、イチゴ農家の多くはミツバチやハナバチなど媒介となる虫をハウス内に放つことで受粉を行っています。
ハウス内に養蜂箱を設置していたり、ミツバチなどのレンタルも行われているそうですよ。
ここまではプロの世界のお話になりますが、家庭菜園のプランター栽培ではどうでしょうか。
もちろん、偶然ちょうどよい風が吹いてくれる可能性もありますし、ハチやアブ、蝶などが蜜を吸いにくる機会もありますが、決して確実とはいえません。
特にマンションの高層階では虫がベランダに飛んでくることも考えにくいので、自然な受粉に至るのは非常に困難です。
ちなみに、イチゴのめしべは中央の膨らんだ部分にあり、1つの花に100本ほどあります。
通常、めしべは中央に1本あるイメージがあるので意外ですよね。
イチゴを水洗いしたとき、細かな毛状のものがたくさん出ることに気付くと思いますが、それがめしべだった部分です。
100本もあるのだから、そのうちの一部に花粉がつけば良いんじゃないかと思ってしまいそうですが、それは大きな間違いです。
全部のめしべに万遍なく付かないと、整った美しい実にはなりません。
例えば花粉の付き方に偏りがあると、ちゃんと付いたところの果肉だけが成長するため、片方が膨らんだ形だったりボコボコとした歪な形になったりします。
イチゴ農家であれば商品価値はゼロになってしまうため、受粉出来ているかどうかにはとても気を遣います。
家庭菜園なら基本的には自家消費なのでそれほど気を遣わなくとも良いと思いがちですが、自然に任せていては果実の数や質にとってもあまり良くありません。
そのため、人の手で受粉を助けて良い果実の収穫を目指しましょう。
【プランター菜園】イチゴの人口受粉のタイミングや方法は?
イチゴの人工授粉のタイミングは、花が咲いてからの日数と天気、時間帯に関係します。
イチゴは開花してから花びらが落ちるまで一週間弱ですが、開花から4日間程度が最も受粉に適しています。
開花したら、おしべの状態を見て、先端から黄色い花粉が出ているようなら(触ってみて指が黄色くなるようなら)ちょうど良いタイミングです。
開花から時間が経ちすぎると、花粉も風で飛ばされて量が減ってしまうのと、花自体が劣化してくるので早いうちに行いましょう。
時間帯は朝露が引いた午前10時頃~正午くらいが最も適しています。
雨で流されてしまわないよう、晴れて乾燥した穏やかな日を選んで行うことが大切です。
人工授粉は、綿棒や小さめの筆、耳かきのふわふわした部分(梵天ともいいます)さえあれば簡単に出来ます。
おしべを撫でるようにして花粉をたっぷり付けて、違う花のめしべ(中央の膨らんだ部分)に万遍なく撫でるようにすればOKです。
あまり力を入れるとめしべが傷つく原因になるので、あくまでも優しく、がポイントです。
補足として、道具は濡らさずに乾いた状態で使いましょう。
ところで、ミツバチなどの虫は花の中で蜜を探すように動き回るので、体の表面に花粉がたっぷり付着します。
花から花へ、と文字通り次の花に移動した時に同じような動きをするため、体表にたっぷりとまとった花粉がめしべ全体にムラなく届きやすくなります。
他家受粉の性質をもつイチゴにとって、こういった虫の動きは非常に理にかなっているといえます。
イチゴの花が開いたらその都度作業することになるので、少し面倒なのは確かですが、形の整った大きな果実を収穫するには大切なひと手間です。
まとめ
【プランター菜園】イチゴは受粉が必要?人口受粉のタイミングや方法についても紹介しました。
イチゴといえば丸みを帯びた三角形の可愛らしい形ですが、その形を作るには「受粉」が必要不可欠です。
イチゴは他家受粉といって他の花の遺伝子を必要とする性質のため、媒介要因がないと状態の良い実を付けることは出来ません。
イチゴ農家ではミツバチなどを利用して確実に受粉させるため、きれいに整った大きなイチゴが収穫できるということです。
家庭菜園のプランター栽培では、虫を当てにすることはほぼ不可能なため、人の手を加えることになります。
人工授粉は綿棒や筆などを使って、おしべから花粉を取ってめしべに付ける作業ですが、イチゴのめしべは約100本もあるので全体に万遍なく付けるのがポイントです。
ムラになってしまうと、果実の形が悪い上に小さくなりかねません。
少し面倒な作業なのは確かですが、イチゴを家庭菜園で育てるには必要不可欠と考えておきましょう。